僕の通う高校は至って普通の私立校だったが一つだけ普通じゃない事があった。 それは幽霊が出るという噂がある事だった。よくある噂だとは思わないで欲しい。僕の学校の噂は非常に信憑性が高く、ほぼ確実に幽霊がいるという内容だった。その幽霊は夕方になると現れると言われていた。誰かを驚かすとか、そんな感じは全くなく、ただそこにいる感じだと言う。僕等と同じくらいの年の美少女で、中世ヨーロッパの貴族の娘のような服を着て、淡い栗色の髪をフワフワと漂わせて、廊下などを歩いているらしい。その姿から姫幽霊というあだ名まで付いていた。 僕はその幽霊とある日、期せずして出会ってしまう。それが大きな事件の幕開けであり、100年続いた『ある事』の完結になるとは、その時は全く思いも寄らなかった。